新規開業 と歯科医の本分2012年09月13日

 気がついたらずいぶん秋らしくなっていました.

  散歩日和の休日、古本あさりに行った帰りにぶらぶら歩いていたら、駅の向こう側に新しい歯科医院が開業しているのを見つけました.
 目抜き通りから少し入った静かな場所です.
 歯科医院の経営もずいぶんと厳しくなっているので、開業資金を抑えるために、あまりお金をかけないで開業したのかもしれません.
 人通りの少ないところなので、歯科医院ができたことに気づかない人も多いだろうな、患者さんは来てくれるのかしら、などといらぬ心配をしてしまいました.

  一方、駅前の比較的立地の良いところでも、つい最近開業がありました.
これは歯科用CTとインプラントを“売り”にしたチェーン店の歯科医院です.
駅前で開院記念グッズを配り、大々的に内覧会(といって開院前に医院内の設備や内装を披露するのが最近ははやっているようです)を行い、潤沢(?)な資金を使って、患者さんを集めようという戦略です.
 しかし、宣伝や内装にお金をかければかけるほど、それに見合うだけの売り上げをあげなけばれば経営はなりたちません.
 それが患者さんへの負担にならないか心配です.


  今歯科医院で一番大きな投資だと考えられるのは歯科用CTです.主にインプラントの埋入の際に使う装置ですが、一台何千万もします.
したがって、その投資資金を回収するためには、それなりにインプラントの本数を埋入する必要がでてきます.
つまり、たくさんの患者さんに来てもらう必要があり、大々的な宣伝も必要になってくるわけです.

  さらに危惧すべき問題は、インプラントの適応症でない患者さんにまでインプラントを勧める歯科医が出てくる可能性があることです.
私の歯科医院にも”この歯を抜いてインプラントにする必要性がどこにあるのだろう?”という患者さんがたくさん来院されます.
うがった見方をすれば医院経営のためにインプラントを勧められたのではないかという患者さんたちです.

  お金をかけないで開院するのも、資金をつぎこんで開業するのもそれぞれの歯科医師の考え方で、特に口をさしはさむつもりはありません.
しかし、医院の経営のために、患者さんにとって不必要なインプラントを勧めるのだけはやめてください.
抜歯はせめて常識の範囲内におさめてください.

  歯科医の本分は“何とか歯を残そうと努力する”ことです.“どの歯を抜いて何本インプラントが入れられるだろうか”と考えることではありません


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