長寿時代の死生学2012年10月25日

 先日の日曜日、東大安田講堂で行われた“長寿時代の死生学”というシンポジウムに行ってきました.主催者側の発表によると1000人近くの人が参加したということで、会場はほぼ満杯の状態でした.
 第一部は座長が大内尉義先生(老年医学)、島薗進先生(宗教学)が 「日本人の死生観を読む」 というテーマで、小林一茶を中心とした基調講演をされ、その後哲学者の清水哲郎先生と“死生観と人工栄養をめぐって ”といいうテーマで対談されました.第二部は三浦久幸先生(国立長寿医療研究センター、在宅連携医療部長)と甲斐一郎(老年社会科学)が座長で、西川満則先生(緩和ケア医師) 、横江由理子先生(看護師) 、桑田美代子(老人看護専門看護師) 、川越正平先生(医師)の講演、樋口範雄先生(法学) 、飯島節先生(老年医学)の指定発言、最後にディスカッションという構成でした.
 介護とか緩和ケアについてあまり勉強していなかった私にとって、“へぇー、なるほど”という内容が盛りだくさんのシンポジウムでした.
 一茶の話も興味深かったし、看取りの時の“命を長らえるのか人生を充実させるのか”という問題もいろいろ考えなくてはならないと感じました.延命だけを医療の唯一の目標としていた過去とは状況がずいぶん様変わりしているなあ、という思いを持ちました.
 あおぞら診療所の川越正平 先生が口腔ケアにより誤嚥性肺炎の発症が格段に抑えられ、さらに認知が改善するという驚くべき事実があるという報告をしてくださったのが、歯科医としては印象に残りました.
 個々の講演や対談はとても興味深かったのですが、全体的には少しまとまりに欠けていたのではなかろうか、という印象を持ちました.
 講演や対談を横糸とすればそれをつなげる縦糸が足らなかったのではないということです.個々の印象ばかりがあざやかで、“長寿時代の死生学”という布を織るまでには至らなかったのではないかと思います.
 ただ、この会はこの後も続くと思いますので、いずれ横糸と縦糸がつながり立派な布になることを期待したいと思います.
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