●害のないことが第一(Primum non nocare)=インプラントや矯正の害にご注意ください=2018年01月09日



 歯科医がその患者さんの治療を担当するときにまず考えなければいけないのは、患者さんに健康上の“害”を与えないということです.

 歯科治療には必ずプラスの面とマイナスの面が共存するので、そのマイナス面を大きくしないことが大切です.

 むし歯を治療するときには、健康な歯もある程度削らなければならないというマイナス面があります.
 しかしこの場合、健康な歯質が除去されてしまうことより、むし歯の進行を止めるというプラスの面の方が大きいので、健康歯質の削除は健康上の“害を与える”ことにはなりません.

 しかし、歯科治療はむし歯治療のように“害”の有無を簡単に判断できる処置ばかりではありません.
 そのときはよくても将来とんでもない問題を引き起こすことがとてもたくさんあるからです.


 私は歯科臨床に携わって40年近くになりますが、経験を重ねるにつれ当初は同じように見える歯科治療も時間経過とともにマイナス面が大きくなるものとプラスの状態を維持し続けるものがあることが良く分かってきました.

 同じ充填(じゅうてん)処置でも、10年、20年たってもびくともしていないものもありますし、数年で簡単にだめになってしまうものもあります.

 特に今はやりのインプラントや審美歯科、矯正治療、咬合治療など、口の中を大幅に改変する処置は、治療後しばらくの間はプラス面が大きくても、時間が経つにつれ、無理したつけが回ってきて取り返しのつかない事態になってっしまうことが多いようです.

 インプラント医も矯正歯科医もその症例を何十年もフォローしている人はほとんどいないので、15年後、20年後にそのマイナス面に気がつくことはありません.

 大きな歯科治療が長い時間経過してトラブルを引き起こしていることに気がつくのは、いろいろな症例をみてきた私のような老歯科医しかいません.
 中でも、矯正治療は歴史も古く、かなり一般的に普及してきているので、その被害は激増しているように思います.

 後戻りのきかない大きな治療は十分調べ、よく考えてから歯科治療を受けるようにお願いします.

 歯科治療は害のないのが一番です.

関連項目:

http://www.asahi-net.or.jp/~pi5a-kns/