●歯周外科手術は必要でしょうか?=手術の効果は限定的です=歯科Q&A2018年01月10日



 現在アメリカ在住の60代の女性です。
 私はこちらで一番奥の歯が片方が8mm、もう一方が6mmのポケットがあり、歯茎を切る手術をするように勧められています。
 本当に手術をしなければならなければいけないのであれば、するつもりにはしております。
 しかし切らなくて済むのであればと、その可能性を伺いたく、思い切ってメールを差し上げました。



 歯周外科の必要性に関してですが8mm程度の歯周ポケットがあるからといって、慌てて手術する必要はありません.

 ポケットの深さは歯周病がどの程度進んでいるかの目安で、測定者によっても数値が変わってきますし、歯周組織の状態によっても体調によっても変わってきます.
 深い歯周ポケットがあっても、ブラッシングなどの基本的な処置をきちんとして、様子をみていくのが歯周病治療の王道です.

 スェーデンのリンデ先生やアメリカのランフォード先生をはじめとして、歯周病学者は外科処置をしてもしなくても経年的にその結果はあまり変わらないという研究結果を発表しています.((1)~(6))
 歯周炎の治癒に関して、長期的な目で見ると、手術をしてもしなくてもその結果に差はないので、手術の必要はないという結論です.

片山恒夫先生

 片山式歯周病治療は外科手術を行わないことがその特徴ですが、片山先生が非外科処置にこだわったのは以下のような理由からです.

1.歯肉を切って根元をそうじするだけのフラップ手術をしても、それで原因が除去できるわけではない
2.手術をしなくても片山式ブラッシングだけで治すことができる
3.手術をしたからといって、その後もきちんとしたブラッシングを続けなくてはならない
4.手術でも救えないような重度の歯周病でも片山式歯周治療で治すことができる
5.手術はたとえ軽いものでも、歯根露出やブラックトライアングルの出現などの障碍がブラッシングで治したものよりはなはだしい.
6.手術をすると、これだけ大変な思いをしたのだから、と患者さん自身のケアがおろそかになってしまう傾向がある.
 以上です.

 歯周病治療の結果を早く出して歯周補綴を急ぐ歯科医は、手術を勧めるかもしれませんが、きちんとした基礎治療をおこなうのが歯周病治療の基本です.
 あまり簡単に手術に踏み切らない方がよいと思います.

 歯周病の手術は、痛い思いをして、お金をとられるだけで、あまり良いことはないと思います.
 歯周病の治療では、その部を含めてしっかり歯ブラシすることが一番です.
 それで、十分目的は達せられます.

非外科処置に関する論文
(1) Lindhe.J, Westfelt.E,Nyman S,Socransky SS, Haffajee AD
"Long-term effect of surgical/non-surgical treatment of periodontal disease"
Journal of Clinical Periodontology(1984)
「歯周治療成功の決定因子は外科とか非外科とかではなく、歯根表面の廓清の質による」

(2)Ramfjord.S.P,"4 modalities of periodontal treatment compared over 5 years",Journal of Clinical Periodontology(1987),
「4つの異なった術式の5年間をフォローアップした結果、術式による効果の相違は認められなかった」

(3) Kaldahl WB et al,"Long-term evaluation of periodontal therapy:1.Response to 4 therapeutic modalities",Journal of Periodontology(1996)
「3種類の術式の7年間の経過を比較したが、術式による予後の相違は認めなかった」

(4) Kaldahl WB et al,"Long-term evaluation of periodontal therapy:2.Incidence of sites breaking down"Journal of Periodontology(1996),
「長期に経過を観察すると術式による際だった相違は認められず、それぞれ治療の効果はあがっている」

(5) Renvert S et al,"5-year follow up of periodontal intraosseous defects treated by root planing orflap surgery",Journal of Clinical Periodontology(1990),
「ルートプレーニングとフラップオペの5年後のアタッチメントレベル、骨レベルに差はなかった」

(6) Kaldahl WB ei al,"A review of longitudinal studies that compared periodontal therapies"Journal of Periodontology(1993),
「経時的に観察すると外科と非外科の予後に相違は認められない」

関連項目


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