●”歯を担当する医者”(1)=歯を担当する医者をめざす=2018年01月11日


片山歯研」セミナーの風景、1992年

 私は片山恒夫先生のセミナーで歯科医療の何たるかを教わりました.

 セミナーではいくつもの問題提起があったのですが、その中の一つに
「キミたちは歯を治療する医者になりたいのか、歯を担当する医者になりたいのか」
という問いかけがありました.

 “歯を治療する医者”というのは、むし歯の穴を詰めたりインプラントを入れたりすることを治療の目的としている歯科医です.
 “歯を担当する医者”というのは歯科疾患の治療を通して全身の健康にまで寄与することができる歯科医のことです.

 歯周病治療に関していえば、歯周病が進行してグラグラで排膿が止まらない歯を簡単に抜いてしまって、インプラントやブリッジにしてしまうのは“歯を治療をする医者”.
 重度の歯周病の歯でも、その歯を救うにはどうすればよいかを考え、歯周病の原因をさぐり、口だけではなく全身の健康まで考えられるのが“歯を担当する医者”ということになります.

ルイ・パスツール

  その病気の原因をみつけ、それを除去することにより病気を治すというのは近代医学の基本的考え方です.

 1960年代当時、歯周病の原因は細菌性プラークだと考えられていたので、歯周病の治療も近代医学の原則にのっとって、原因である細菌を除去すれば治せると考えられていました.

 しかし、20世紀の終盤になって、重度歯周病は多因子性の疾患で、細菌以外の原因が関与していると考えられるようになり、細菌に対するアプローチだけでは重度歯周病の治療は不十分であることが分かってきました.

 このことに欧米の歯周病学者が気付くはるか以前に、歯周病の原因は細菌だけではないことを指摘していたのが片山先生です.
 片山先生は、その人の生活そのものに病因があると考え、歯周病治療では細菌の除去とともに生体の抵抗力を高める必要があるとしてして、“片山式歯周病治療法”を編み出しました.

 生体の抵抗力を高めるために片山先生が推奨したのが、一口50回噛みによる食生活改善や真向法というストレッチ体操、呼吸法などでした.
 これらの行為をすることで、生体の本来持っている自然良能を活性化して歯周病を撃退する抵抗力を高めるとともに全身の健康を維持増強しようと考えました.

 これがすなわち”歯を担当する医者”のおこなう歯科医療です.

 私は”歯を担当する医者”になりたいと思いました.そこで、患者さんに生活改善を行ってもらえるような歯科臨床を目指そうと思いました.

 しかし、その道のりは予想外に困難であることを、その時はまだわかっていませんでした.



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