●“歯を担当する医者”(4)=原因除去療法が通用しない=2018年01月14日

 ある病気にはその病気に特定の原因がある、という考え方を特定病因説といいます.

 近代医学では診査診断をして、その病気の原因を見つけ出して病気を治すという考え方がその治療法の基本にあります.
 たとえば、結核の原因は結核菌なので、結核菌を除去することで治すことができます.壊血病はビタミンCの欠乏がその原因なのでビタミンCを補給して治すというのが、近代医学の治療法です.

 これらの治療法のもとになっている考え方が特定病因説です.


 片山式歯周病治療法も歯周病の原因を見つけ出しその原因を除去して治癒に導くという”特定病因説”に基づいた治療法です.

 片山先生が歯周病の原因であると考えたのは細菌性プラークとよく噛んで食べなくなった現代の食生活です.
 火食、軟食の文明食が歯周組織の抵抗力低下を招き、それが歯周病の原因になると考えたわけです.そのために、よく噛んで食べるが歯周病の治療に必要であると考えたわけです.
 つまり、片山式歯周病治療というのは、細菌とよく噛まない食生活が原因で、その原因を除去することで歯周病を治そうという特定病因説に基づいた治療法だったわけです.


  特定病因説によって近代医学は格段の進歩をとげましたが、病気の中には“特定病因説”が当てはまらない疾患がたくさんあります.
 糖尿病などの生活習慣病や関節リウマチなどの自己免疫疾患や精神病などがそれにあたります.

 これらの病気は原因-結果と明瞭につながる病因をみつけることができないので、原因を除去するという治療法が通用しないのです.

 実は、組織破壊の著しい重度歯周病もこの原因除去療法が通用しない疾患のひとつだと考えられています.
 歯肉炎など軽度の歯周病では原因はほぼ細菌だけといってよいので、原因除去療法が効果を発揮します.
 しかし、重度歯周病は多因子性の疾患で、原因がよくわかっていない部分が多く、原因除去療法が通用しないと考えられているわけです.

 しかし、私は安保免疫論の視点で歯周病の基礎論文を調べるた結果、ストレスが細菌とともに歯周病の原因であることに確信を持つようになりました.
 したがって、重度歯周病の治療でも原因除去療法が通用するのではないかと考えるようになりました.

 実際に重度歯周病の方の話を聞いていると、その急激な歯周組織破壊の前に大きなストレスをこうむっていることが分かります.
 介護で疲れきって日々が続いていた、夫婦間のいざこざで夜も眠れなかった、詐欺にあって何億という損害を会社に与えてしまった、というような重い話が次々と飛び出してきます.

 しかし、ストレスが原因であるとはっきりしても、原因除去療法をおいそれと適用できないことが分かってきました.

 大きなストレスを感じている人に、ストレスが原因ですといっても、そう簡単にストレスを除去できるわけではありません.
 ましてや「よく噛んで楽しく食事をしてください」といっても、それでストレスが解消されるほど甘くはありません.
 そんなことで簡単にストレスから解放されるのであれば、世にストレス性疾患などという言葉は存在しなくなってしまうでしょう.

 安保免疫論によってストレスと重度歯周病には因果関係があることは分かりました.
 しかし、原因が分かったからといって、特定病因説に基づいた原因除去療法が適用できそうにありません.

 では、いったいどのようにアプローチをすればよいのでしょうか.

 ”歯を担当する医者”への道がまた見えなくなってしまいました.




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